皆さんこんにちは。
名古屋市昭和区の税理士、服部大です。
昨日のブログでは拡充された持続化給付金のうち、
2020年の新規開業者向けの制度要件について詳しく解説しました。
しかし今回の制度拡充で対象範囲が広がるのは今年開業した方だけではありません。
これまで雑所得や給与所得にて確定申告を行ってきた
フリーランスの方々も新たに給付金の対象となります。
本日はそのようなフリーランスの方向けの特例について確認していきたいと思います。
収入減少要件や給付額自体はほぼ原則どおり!
まずは特例の大枠となる収入の減少要件や給付額の計算については原則とほぼ同様です。
唯一異なる点としては、
原則であれば事業収入が前年同月比で半減以下となる月があればOKでしたが、
今回の特例に関しては、前年1年間の当該収入を12月で除したもの、
つまり前年における月平均の収入が比較対象となります。
したがって昨年の雑所得または給与所得の月平均収入に対し、
今年に50%以上減少した月があれば、収入の減少要件についてはOKということなります。
また減収要件を満たし、以降でご説明をする各要件もクリアした場合の
給付金額の計算についてですが、コチラに関しては原則計算と全く同じです。
【前年1年間の収入(雑or 給与)
ー半減以下となった月の収入】×12月
によって給付額を計算することとなります。
このように今回の雑所得や給与所得フリーランス向けの特例では、
減収要件や給付額の計算については目新しさはあまりないのですが、
それ以外の要件が割と厳しめに設定されているため注意が必要です。
それらの特徴について以下で解説いたします。
新たに設定された要件とは!?
まず今回持続化給付金の対象者拡大について、
政府がおそらく考えたであろうリスクを想像してみることにします。
①2020年開業者の場合
・給付金目当てで今年開業したと偽装する輩が湧いてくる
・コロナの影響によるものとそうでないものの判別が困難
②雑所得や給与所得のフリーランス
・本業ではなく副業程度の申請者が紛れ込む
・サラリーマン申請者が紛れ込む
政府としては、本来コロナの影響を受けた事業者に対して行うべき給付金制度について、
上記のような方々が紛れ込んで申請ができてしまう可能性は
何としても排除しなくてはならないと考えたはずです。
そのため、昨日のブログでもお伝えした通り、
今年開業した方についてはきちんと開業届を提出していないといけなかったり、
コロナの影響を証明するために4月以降の売上が3月までの平均と比べて
半減以下じゃないとダメですよ!
というようにハードルを高く設定しているわけです。
そしてこのような理由から、
雑所得や給与所得のフリーランスについてもハードルは少し高く設定されている印象です。
では以下で今回の特例で設定された特殊な要件を見ていきましょう。
特殊要件①:事業所得があったらダメ!
まずひとつめはそりゃそうだという話かもしれませんが、
雑所得や給与所得のフリーランスの場合でも、
それ以外に事業所得があれば特例での申請は不可となります。
![](https://senblo.xsrv.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropkangoIMGL7876-1-1024x545.jpg)
その理由は、雑所得等とは別に事業所得があるのであれば、
普通に考えれば本業はその事業所得の方でしょう、と解釈されるからです。
持続化給付金制度自体がそもそも本業以外を救済することは
本来の趣旨から外れますので、事業所得以外での申請はできません。
事業所得について従来の給付金要件を満たすのであれば勿論申請は可能ですが、
例えば事業と雑所得を合算して申請を行うということはできませんのでご注意ください。
特殊要件➁:2019年以前に被雇用者や被扶養者だったらダメ!
今回の特例で対象となるのは、本来事業とも言えるようなフリーランスの収入で、
その収入をもとに自らや家族を養っているという方なのです。
したがってどこかの会社等にて雇用されている方(アルバイトやパートもダメです)
は対象とはなりませんし、
自らがご家族の誰かに扶養されているようなケースでは
事業相当と言えるほどの充分な所得を稼いでいないと判断されてしまうということでしょう。
しかし従来の持続化給付金、つまり事業所得で申請する人については
誰かの扶養になっていようが、どこかの会社で雇用されていようが
事業収入さえ減少していれば申請ができてしまっているわけです。
それを雑所得等のフリーランスにだけ認めない!
というのはどうなのでしょう。
![](https://senblo.xsrv.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropTRTM9725-1024x545.jpg)
それを言うのであれば誰かの扶養に入っている事業所得者については
そもそも『事業』と言える規模なのでしょうか?
なかなか疑問は尽きませんね。
特殊要件③:「雑所得or給与所得>他の所得」じゃないとダメ!
先ほどの①の要件と同様、
③の要件についてもフリーランスの収入が本業でないと不可であるということです。
※ただし譲渡所得や一時所得のように、
偶発的に発生した所得の方が大きかった場合には除かれません。
あくまで不動産所得や配当所得のような毎年発生するような所得の方が大きい場合には、
「フリーランスの収入は本業ではないのでは?」という話になるようです。
またこちらの特殊要件についても勿論、事業所得者であれば問われることはありません。
添付書類についても注意が必要です
お伝えした通り、今回新設された特例については、
・雑所得であれば副業程度の片手間のお仕事をされている方
・給与所得であればサラリーマン
これらの方が申請を行うことができてしまうと制度としてマズいわけです。
したがってこの特例を用いて申請を行う方については、
ご自身が「上記のような人間ではないんですよ」ということを
添付書類を用いて証明していくことが必要となります。
![](https://senblo.xsrv.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropMS251_nazeyaranai-1024x539.jpg)
では雑所得や給与所得のフリーランスの方が申請する場合に
必要となる書類を見ていきましょう。
・令和元年分の確定申告書
・半減以下となった月の収入が分かる書類(売上台帳など)
・「業務委託契約に基づく事業収入であること」を証明する書類
⇒副業程度のものではないこと、サラリーマンではないことの確認
・国民健康保険証の写し
⇒会社等で社会保険に加入していないこと(サラリーマンでないこと)の確認。
・振込先口座通帳の写し
・本人確認書類の写し
この中でも特徴的である「業務委託契約に基づく事業収入であること」を証明する書類
について深堀していきます。
「業務委託契約に基づく事業収入であること」を証明する書類とは?
必要書類のうち、「業務委託契約に基づく事業収入であること」を証明する書類
として提出が求められているのは、以下の3つのうち2つを言います。
1.業務委託等の契約書の写し又は持続化給付金業務委託契約等契約申立書
2.支払調書又は源泉徴収票
3.支払があったことを証する通帳コピー
この3つの中で最も簡単に手配できるのは通帳コピーでしょうね。
したがって残る2つのうち、用意できるものを添付して申請を行うのが現実的かと思います。
※源泉徴収票の場合には1.との組み合わせのみ可
なおあらかじめ契約を締結していなかった場合についても、1.のとおり、
申請にあたって以下のような申立書を作成すれば契約書の代用とすることが可能です。
![](https://senblo.xsrv.jp/wp-content/uploads/2020/06/図1-7-721x1024.jpg)
(参考)確定申告をしていなかった場合はどうする?
添付書類のうち、昨年度の確定申告書がありますが、
所得の状況や給与所得のみという理由等によって確定申告義務のない方については
そもそも確定申告を行っていないケースも考えられます。
そのような方については、
「確定申告を要しないこと及び収入金額に係る申立書」という書類を作成し、
税理士の署名を貰うことで代用することが可能となります。
この辺りについても、そもそも確定申告をしていない人に
顧問契約を結んだ税理士がいるのかとても疑問ですね。
「署名するから数十万円よこしなさい」
![](https://senblo.xsrv.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropseigiman390-1-1024x608.jpg)
というような悪徳税理士が出てこないか心配になります。
署名を依頼する際にはくれぐれもお気を付けくださいね。
もらった給付金の取扱いは?
事業所得者や法人であれば、持続化給付金が入金されれば
それも事業収入に含める課税処理が正解となるのですが、
では雑所得や給与所得のフリーランスの場合はどうなるのでしょうか?
まず雑所得の方については、
給付金もそのまま雑所得の収入金額に含めてしまえばOKです。
では給与所得者は?と言いますと、
給与所得者の場合には給与収入としてではなく、
一時所得として処理することになりますのでご注意ください。
ちなみに一時所得に分類されるということは、
給付金額が50万円までであれば給付金に税金はかかりません。
50万円を超えた場合についても、
超えた部分に更に1/2をかけた金額にしか税金がかからないため、
給与所得者が給付金をもらえた場合にはメリットが大きいと言えるでしょうね。
最後に
今日は対象が拡大された持続化給付金のうち、
雑所得や給与所得のフリーランスの場合についてのお話をしました。
制度の趣旨から逸脱する申請を排除したいという政府の思惑はとても理解できます。
しかし従来の事業所得者の場合のゆるゆるな制度はそのままで、
今回の新たな対象者のみが厳しい要件を突き付けられるのは
やはり不公平感を感じずにはいられませんよね。
まあ従来の給付金についてはすでに交付済みの件数も非常に多いので、
今更ハードルを上げることはできないのでしょうね。
しかし今回の特例でも救済される方は少なからずいらっしゃるはずです。
要件を満たしている方についてはぜひ積極的に申請を行うようにしましょう。
それでは本日もお読み頂きありがとうございました。
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