現在、Twitterでは税理士の同業者によるパワーワードが注目を集めています。
その名も「#パンツ節税」です。
笑ってしまうようなネーミングですが、
このようなことが話題に上がること自体、税務の世界の闇を感じます。
今回は話題となっている「パンツ節税」の中身と、
そこから感じる業界特有の難しさについてお伝えしていきます。
デート代も食事代もすべて経費!?
”節税”という名の脱税指南について。
Twitterで同業者の間で話題となっているのは、
とある節税サイトで紹介されている脱税まがいの手法についてです。
そのサイトでは、パンツなどの衣服の購入費だけでなく、
スーパーでの食料品費、デート代までも経費化できると紹介されています。
ちなみに冒頭の「パンツ節税」というパワーワードは、
パンツまで経費にできるということが堂々と書かれていたことによるものです。
その具体的な方法とは、領収書の但し書きを「お品代」のようにボカして記載したり、
それらしい理由をつけて業務上必要だったことを繕うことによるものです。
たとえば
- スーパーで購入する食料品費や洋服、スーツ、下着などの衣服代については、
仕事用の消耗品を買ったことにして「お品代」で領収書を切ってもらう。 - 芸能人や作家など芸術分野の方がデートで映画館やテーマパークに行ったら、
仕事との関連性をこじつけることで経費で落とせる。
こんなような話が堂々と書かれているのです。
つまり端的に言えば、たとえ本当は仕事とは関係ないものでも、
税務署がわからないように他の経費とごちゃ混ぜにしてしまったり、
それらしい理由をでっちあげることで税務署にバレないようにできるという理屈です。
こんなものは言うまでもなく経費の水増しであり、脱税指南そのものです。
(そもそも「バレないようにする」ということは違法性を認めていますよね。笑)
紛れもない仮装行為に当たるため、税務調査で悪質であることが認められれば
40%近くの加算税が上乗せされることは確実ですので絶対にやめましょう。
玉石混交の情報であふれるインターネット社会。
今回ご紹介した”パンツ節税”のサイトの恐ろしいところは、
間違った情報にもかかわらず、あちこちに「問題ない」と明記されていることです。
(実際には問題大アリです。)
したがって税務の知識があまり無い方は、
「これが正しいんだ」と誤解してしまう可能性があるのです。
以前、別記事でも間違った知識をお持ちの方が少なくないことをお話ししましたが、
インターネット上には正しい情報だけでなく間違った情報も混在します。
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大半の税理士からすれば、そのような誤った情報が流され、
納税者が鵜呑みにしてしまうこと自体が営業妨害そのものですよね。(´・_・`)
Twitterで同業者が話題にしていたのも、
納税者へこのような間違った情報が発信されることがまさに”いい迷惑”だからです。
しかし言い方を変えれば、
税務の世界が白黒ハッキリしないグレーゾーンばかりであることにも原因があると思います。
明確な基準がないからこそ、間違った情報でも平気で発信することができてしまいますし、
見方によってはそれがテクニックやノウハウに映ってしまうこともあるでしょう。
責任を負うのは情報発信者ではなく納税者自身。
だからこそ自分の頭で理解することが重要。
今回の”パンツ節税”の事例を見ていて怖いなと思うのは、
その情報を鵜呑みにして納税者が税務署から大きなペナルティを負ったとしても、
その情報発信者には責任が追及されない点にあります。
税務の世界では結局のところ、情報の出どころがどこかではなく
それを信用して申告を行った納税者の責任となるからです。
(顧問税理士がいるような場合には話は別でしょうが。)
したがって納税者自らが確定申告や決算手続きを行うような場合には、
インターネットや書籍などで仕入れた情報については
一度はご自身の頭脳というフィルターを通さなければいけません。
納税者自身が自ら咀嚼して納得できたものでないと、
軽率に実行してしまったツケを払うのは自分自身になってしまうからです。
難しい判断を迫られるような場合には、税理士にセカンドオピニオンを聞いてみたり、
税務署へ直接確認するなどの慎重なご対応をお勧めします。
最後に
今回はTwitterの同業者を賑わせていた「パンツ節税」に関し、
『ネット社会×税務のグレーの世界』のリスクについてお話ししました。
私自身も小規模ながら情報を発信する立場として、
読み手が誤解しないような発信方法をこれからも追求していきたいと思っています。
それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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