10月初めにスタートした『GoToイートキャンペーン』。
当ブログでも『【GoToイート】おトクにポイントを貯めるなら、割安なお店を利用しよう!』
にて制度のご紹介とともに、
リーズナブルな価格のお店を利用することが
効率的にポイントを貯めるために有効であることをお伝えしました。
しかしこのGoToイートによるポイント付与制度を悪用する手口が横行しています。
今回は『トリキ錬金術』と制度設計の不備について解説していきます。
『トリキ錬金術』とは?
現在、ニュースやSNSなどで問題となっている『トリキ錬金術』をご存知でしょうか?
ポイント
『トリキ錬金術』とは、
GoToイートを活用して予約した鳥貴族で焼き鳥1本だけを注文し、
お得にポイントを貯めようとするGoToイート制度の悪用手法を指します。
ちなみに「錬金術」とは金以外のモノから金を作り出すことを意味し、
今回の場合には「お金のないところからお金を産み出すこと」を指しています。
ポイント付与分と実際の飲食代との差額が”丸儲け”
下図のようにGoToイートでは飲食店のオンライン予約を行うことで、
予約人数や利用時間に応じて飲食店で使えるポイント付与を受けることができます。
![](https://senblo.xsrv.jp/wp-content/uploads/2020/10/large_a603d416-59f4-4a7c-ab01-bf46897657b7.jpeg)
つまりこの制度を利用すれば、
ココがポイント
仮に1名であったとしても実際の食事代を1,000円以下に抑えることによって、
付与される1,000円分のポイントと実際の食事代との差額を稼ぐことができます。
このような手口の対象となったのが鳥貴族というワケです。
鳥貴族の焼き鳥1本の値段は税込み327円とのことなので、
焼き鳥1本だけ注文して会計をすれば
1,000円分のポイント付与との差額673円を稼ぐことができるのです。
注意ポイント
またこのポイント付与は無制限に受けることが可能であるため、
複数店舗をはしごすることによって
ポイント付与による儲けは数万円、数十万円と無限に増えていくのです。
そのためひとりで予約し、来店した際に焼き鳥1本のみを注文する利用客が増加し、
GoToイート開始1週間足らずのうちに大きな社会問題となりました。
鳥貴族が悲鳴を上げる理由
この制度の悪用手口を見ても、
客数が増えるのだから、お店側は別に損している訳ではないんじゃないの?
と思う方もいるかもしれません。
しかし今回のGoToイートによって、鳥貴族は悲鳴を上げています。
飲食店側はぐるなびや食べログといった予約サイトを利用することにより、
お店側は利用客1名あたり約200円の手数料を予約サイトへ支払っています。
つまり焼き鳥1本のみの売上327円-200円=127円となり、
さらには材料費や人件費などを加味すれば、
そのような利用客が増えれば増えるほど損失が積み上がっていくのです。
さらに詳しく
したがってコロナ禍で苦しむ飲食店を救うはずのGoToイートが、
さらに一部の飲食店を余計に苦しめる結果となっているのです。
『トリキ錬金術』で浮き彫りとなったGoToイートの欠陥
このような制度悪用が顕在化する中で、
政府は付与されるポイントを下回る「少額飲食」を
GoToイートの対象外とする方向へ見直しを図ることを発表しました。
(参考:『GoToイート、少額飲食対象外 農水省、ポイント稼ぎ防止』)
またすでに鳥貴族はコース料理の予約のみをキャンペーン対象とし、
「席だけの予約」を対象外とすることによって
制度悪用の利用客を排除するように対策を講じています。
そもそもこのような制度の悪用は、
キャンペーン開始前から検討がなされていて当然のことではあります。
農林水産省からのヒアリングでも、制度開始前からそのような懸念はあったものの、
- キャンペーンに関するお店側の自由度を制限したくない
- 実際に悪用されるケースは多くないと予想していた
といった理由から、何ら対策を講じることもなくスタートしてしまったようです。
ココがダメ
その結果、制度が始まってわずか1週間で見直しが必要という
何ともお粗末な事態となりました。
性善説がもはや通用しないことは、火を見るよりも明らか
持続化給付金や今回のGoToイートはどちらも悪用される可能性がありながら、
きっと正しく利用してもらえるだろう
という安易な憶測によって実行され、結果として不正受給やモラルを欠いた飲食店利用をもたらしています。
特にどちらも『SNSによる拡散力』は非常に大きなものであり、
持続化給付金の不正受給ではSNSによって若い世代にも爆発的な広がりを見せ、
GoToイートにおいても悪用情報が拡散され、模倣者を生んでいることでしょう。
はてな
持続化給付金を開始する際に政府が発していた「性善説」は、
すでに存在しないことが明らかではないでしょうか?
特にコロナ禍の苦境においては、自身の生活に苦しむ国民も増えているはずです。
その中で性善説をあてにするのは非常に危険でしょうし、
そもそもそのようなイチかバチかの政策に税金が使われることはいかがなものでしょうか?
このような効果が十分に発揮されない政策に税金が流用され、
国の財源不足のためにいずれ増税が敢行されるという流れは避けて頂きたいものです。
最後に
今回はGoToイートで問題となっている『トリキ錬金術』についてお話ししました。
制度がしっかりと見直しされるまでの間、
いわゆる「駆け込み需要」のように少額飲食が横行しないか心配です。
キャンペーンを行う飲食店は、
少額飲食を対象外とするなどの然るべき対応を迅速に行うようにしてください。
それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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