皆さんこんにちは。
名古屋市昭和区の税理士、服部大です。
愛知県でも緊急事態宣言に基づく休業要請がなされ、
明日からの連休も静かな生活となりそうですね。
現在、中小企業をはじめとする国内法人はコロナへの対応に追われています。
中でも従業員をテレワーク勤務へ移行したり、
休業にしてもらったりするなどの対応を強いられていることでしょう。
一般の従業員については決算期にかかわらず、
期中にてそのような対応を図ることも可能なのですが、
反対に期中変更への制約が厳しいのが役員報酬です。
今回のコロナの影響で、役員報酬の期中改定は認められるのかどうかについて
お伝えいたします。
役員報酬の期中改定が認められるケースとは?
基本的に役員報酬に関しては、
毎期の決算申告後に開催される定時株主総会で金額を取り決め、
期中ではその金額を支払い続けることで損金算入が認められることとなります。
このように一度定時株主総会で定めた役員報酬を
期中に自由自在に増減させることを認めてしまうと、
「今期は思った以上に儲かって税金が出そうだから役員報酬を増やそうか」
というように自社の利益調整も簡単に行えてしまいますよね。
したがって適切な理由がない場合に期中改定を行うと
役員報酬の損金算入を行えないとする規制を課すことで
利益調整への悪用を防いでいます。
しかしその一方で定時株主総会の後に起こった役員の地位や
職務内容の変更(取締役⇒代表取締役への就任など)が起こった場合に
当該役員の報酬を変えてはならないとなると、
企業の実態に即した改定にまで制約をかけてしまうこととなります。
したがってこのような事由が発生した場合には
定時株主総会後であっても期中での役員報酬の改定が認められます。
上記のような役員の地位や職務の変更などの事由を臨時改定事由といいます。
そしてもうひとつ、期中での改定が認められるケースがあります。
それは業績悪化改定事由というものです。
業績悪化改定事由とは、その名のとおり、
会社の業績が傾いたことにより役員報酬の減額を認めるものです。
ちなみに悪化の場合のみのため、好調の場合の増額は当然不可となります。
(それは利益調整ですからね。)
この業績悪化改定事由に該当するための程度についてですが、
ちょっと利益状況が芳しくないという程度では認められるものではなく、
客観的に会社の経営状況が著しく悪化し、
やむを得ず減額せざるを得ない状況を言います。
この「客観的」というフレーズには、
例えば取引先や金融機関、株主との関係を鑑みて、
役員報酬を減額してでも信用回復を図らねば支障をきたすようなケースを言います。
したがって単に
・業績が前年比で5%減少した
・当初の売上目標に届かなかった
・一時的な資金繰り改善のため
といった事由での減額は認められませんのでご注意ください。
コロナは業績悪化改定事由にあたるか
ではここで本題です。
今回の新型コロナ拡大による業績の悪化については
どのようなケースが業績悪化改定事由に該当するのでしょうか?
答えは、一定の要件さえ満たせば可能です。
このたび国税庁が発表したFAQでは、
該当するものの例示として以下の2つを挙げています。
①すでに悪影響が生じているケース
・イベント開催中止により無収入に…
・新型コロナの影響で家賃や給料の支払いが困難になるなど
資金繰りが悪化し、金融機関との関係上、役員報酬の減額をしなければならない
・外出自粛要請により観光客が激減し、回復の見通しが立たない
②今後悪影響が予想されるケース
・現状では売上への影響は見られないが、今後の経営状況の著しい悪化が不可避である
このように①の場合では、資金繰りの困窮による改定についても弾力的に認め、
また②においては将来的な悪化が見込まれるという予見段階においても減額改定を認める
との方向性を示しました。
したがって役員報酬の期中改定への規制によって減額に踏み切れなかった事業者の方々は、
このような事由に該当すれば期中での減額も認められますので、
安心して事業存続のために取るべき対応を行うようにしてください。
最後に
今日はコロナ禍における役員報酬の減額が可能かどうかについてお話ししました。
当然拡大解釈を行うべきではありませんが、
今回の国税庁の発表では将来的な影響を見越しての意思決定についても
期中改定を認める旨のFAQとなっておりますので、
経営判断に悩まれる事業者の方々にとって少しでも参考となれば幸いです。
では今日もお読み頂きありがとうございました。
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