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【緊急事態宣言解除】役員報酬の再改定にも光明が!?

皆さんこんにちは。

名古屋市昭和区の税理士、服部大です。

名古屋はなぜこんなにも蒸し暑いのでしょうかね。

まだ5月なのに先が思いやられます。

昨日の全国での緊急事態宣言解除を受けて、

プロ野球は6月19日に無観客での開幕を発表しました。

無観客だと本来の盛り上がりには欠ける部分もあるかと思いますが、

自粛下ではスポーツの偉大さをこれでもかと言うほど思い知らされましたので、

今回の発表は個人的には大変嬉しいニュースでした。

県をまたぐ移動などで困難も多々あるかと思いますが、

対策を重ねた上で、安全な開催を進めてほしいものです。

さて、今日は役員報酬に関するお話をしたいと思います。

売上の回復に伴う増額は臨時改定事由には該当しない

以前のブログ『【Q&A】コロナによる役員報酬の期中減額は業績悪化改定事由に該当するか?』では、

コロナの感染拡大に伴い売上が減少したこと等による役員報酬の減額については

一定の要件さえ満たせば『業績悪化改定事由』に該当することをお伝えしました。

しかしその後売上が回復した際に、一度減額した役員報酬を元の水準に戻すことは

『臨時改定事由』には該当しないため、増額分は損金算入が認められないのであることを、

続報『【役員報酬】コロナ影響緩和時の増額改定は損金算入OK?』としてお届けしました。

これは元々役員報酬は売上の増減に伴って改定することを認めるようなものではなく、

これを許可してしまえば、企業は役員報酬改定を利用した利益操作を

容易に行うことができてしまうためです。

このような理由から、役員報酬の減額を行う際の『業績悪化改定事由』についても、

基本的には単なる売上の減少ではなく、

資金繰りの悪化などにより減額せねば経営に重大な支障をきたす可能性がある、

というような切迫した事由が要件とされているのです。

臨時改定事由に基づく増額(再改定)が認められるケースとは?

しかし税務研究会によって行われた税務当局への取材によると、

一度期中にて役員報酬を減額している場合において、

その役員の『職務内容の重大な変更』によって増額改定(減額後の再改定)を行う場合は

臨時改定事由に該当するため、損金算入が認められるケースがあるようです。

ではその役員の『職務内容の重大な変更』とは何でしょうか?

『職務内容の重大な変更』とは?

4月に出された緊急事態宣言や休業要請により、

営業を自粛し、休業する飲食店や小売店が相次ぎました。

従来であれば各店舗を飛び回っていた役員については、

コロナの影響で本来の職務を大きく制限されているケースも多いと思います。

役員報酬の減額を行っていた場合、

前述のとおり『業績悪化改定事由』に基づく減額とすることもできるのですが、

「休業や営業時間短縮等の理由により、本来役員として果たすべき職務を全うできない」

ことによる減額も、経営判断としてはあり得るでしょう。

このような本来役員として果たすべき職務を行えないことによる報酬の改定は、

『職務内容の重大な変更』に基づく改定として、臨時改定事由にあたるのです。

そして緊急事態宣言解除による営業再開等により、

従来の役員としての職務を果たせるようになれば、

それ自体も『職務内容の重大な変更』に該当するため、臨時改定事由の要件を満たし、

増額後の役員報酬も損金算入が認められるとのことです。

つまり減額時に関しても業績悪化改定事由に基いて減額するのではなく、

『職務内容の重大な変更』があったからこその減額であり、

その後、本来の職務が戻ったことにより増額(元の水準に戻す)する方法ということです。

『職務内容の重大な変更』の具体例は?

ではどのようなケースが『職務内容の重大な変更』にあたるのでしょうか?

最もわかりやすいのが、その役員が入院などにより勤務できない場合です。

コロナかどうかに関係なく、入院中は本来行うべき職務の遂行について

著しく制約を受けることとなるため、むしろ減額されないことの方が違和感を感じますよね。

このようなケースではまさに『職務内容の重大な変更』にあたります。

コロナ禍においても、先ほど例で挙げた通り、緊急事態宣言下で

店舗回りができない等の影響がある場合にはこれに該当する可能性があります。

またテレワークにより出勤しないことによって一部職務が制約されるケースなども

この要件に該当する可能性があるでしょう。(あくまで役員としての職務を指します。)

どこまでが『職務内容の重大な変更』に該当するのか、

その判断基準を明確にすることは容易ではありませんが、

コロナ禍のような不測の事態においては、利益調整と疑われるものでない限りは

ある程度柔軟に認められるものではないかと思います。

職務変更の‟実態”と‟増減額の根拠”が重要

個人的には役員報酬を増減させることよりも、

その実態と増減額の客観的な根拠を整えることが重要なのではないかと思います。

例えば、先ほど例で挙げたような

  ・休業で店舗回りができない

  ・テレワークで業務が制約される

というようなケースでも、

  ・そもそも休業前から役員は店舗回りなんてしていない

  ・テレワークでも滞りなく役員としての職務は遂行できている

というように、そもそも改定するための実態が伴っていないのであれば

当然、改定事由には当たらないということになります。

また職務内容の重大な変更という実態は伴っているとしても、

その増減させる額の根拠が乏しい場合にはリスクが大きくなります。

例えばコロナ禍で制約を受ける役員としての職務はほんの一部なのに、

報酬は70%減額となれば、実態に対して報酬の減少幅が釣り合っていませんよね。

つまり実態と金額をリンクさせることも非常に重要と言えます。

増減させる額の根拠は、その職務に要する単純な時間数だけではなく、

職務の重要性にも起因するところだと思います。

なお、この増減金額の根拠に関しては、臨時改定事由のみならず、

業績悪化改定事由に関しても同様です。

闇雲に改定するのではなく、

  ■どのような事実に基づいて

  ■何を根拠としてその額とするに至ったのか

その算出過程を臨時株主総会議事録として記録しておくことが望ましいと考えられます。

先述のとおり、役員報酬は利益調整に使われやすく税務当局も目を光らせる部分です。

余計な疑念を生むことがないよう、慎重な対応や根拠資料の整備を心がけましょう。

最後に

今日は役員報酬の再改定についてお話ししました。

緊急事態宣言の解除により、今後以前の水準に戻したいというニーズも

ちらほらと出てくることが想定されます。

再改定による増額が絶対に認められない、ということはありませんが、

しっかりと根拠を具備した上で改定に臨むよう心がけましょう。

では今日もお読み頂きありがとうございました。

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服部 大

2020年2月に名古屋で独立開業したギリギリ平成生まれのゆとり税理士/中小企業診断士です。 こちらのブログでは、私自身の事務所経営や日々の生活で感じたことを自由気ままに綴っていきます。

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