インターネットやSNSで発信されている無茶な節税方法を見ていると、
税務署が申告書を受け取ってくれたからOK
というように、”税務署は内容が正しい申告書しか受理してくれない”という
間違った論調で書かれているものを多く目にします。
一般的に「税務署が受理すること=申告内容に問題がないとお墨付きをもらった」
と勘違いされていることが多々ありますが、
これは完全な誤解です。
そもそも確定申告を提出する際には、
名前が書いていないなどのよっぽどの不備がなければ当たり前のように受理されます。
今回は勘違いの多い「受理された=内容にお墨付きをもらえた」という誤解について、
実務上の正しい見解を解説していきます。
確定申告を提出する際、申告内容のチェックはされません
確定申告書を提出したことのある人はご存知でしょうが、
副業による”雑所得”やフリーランスなど個人事業主の”事業所得”を申告する際、
売上や経費の根拠となる請求書や領収書の提出は一切求められません。
したがって納税者が提出する確定申告書に記載された数字について、
税務署からすれば根拠もないのに正しいかどうかなどわかるはずがないのです。
ココがポイント
つまり売上を抜いていようが、架空の経費を水増ししていようが、
申告書の提出時点で税務署が受け取ってくれないなんてことはありません。
そもそも申告書の提出のたびに1件1件綿密にチェックを行っていたら、
税務署は何人いても人手不足に陥り、確定申告時期には大パニックとなるでしょう。
(自己)申告すること=正しいことが前提
個人が提出する確定申告書や法人が行う決算申告というものは、
いわば「自己申告」にあたります。
ポイント
「自己申告」は納税者側で正しく処理されていることが大前提であるがゆえ、
申告時の添付書類は最低限のものに限られているのであり、
基本的に税務署側が受取りを拒否することはあり得ないのです。
つまり確定申告を行うということは、
「私の1年間の所得は○○円であり、そこから計算した納税額は××円です。」
(申告内容に関しては私が責任を負います。)
というものであり、
「私なりに計算してみたのですがこれで合っていますでしょうか?」
と税務署へお伺いを立てるようなものではないのです。
注意ポイント
したがってご自身で申告を行う場合は
確定申告書を提出し終わっても誰にも中身のチェックはしてもらえず、
答え合わせの機会があるとすれば、それは税務調査のときなのです。
そういった意味で申告書に記載した内容は完全なる自己責任であり、
それゆえ税務調査等で誤りが発覚した際には追加の税金が徴収されるのです。
無責任に拡散される情報には要注意!
上述した確定申告を行うことの大前提も理解せず、
「この内容で申告書を提出しても何も言われなかったからOK!」
という主張は根本的に的ハズレと言わざるを得ません。
またそのような情報を鵜呑みにして同様の処理をし、
結果としてあなたが税務調査で否認されてしまった場合、
その情報提供者があなたに代わって追徴税額を負担してくれるわけでもありません。
確定申告が自己責任に基づくものである以上は、
インターネットやSNSに拡散されている情報をそのまま信じるのではなく、
ご自身でしっかりと検討した上で正しいかどうか判断するようにしてください。
もしご自身で判断できない場合には、
税理士などの専門家へ意見を仰ぎ、正しい申告を行うことをお勧めいたします。
最後に
今回はよくある税金に関する誤解として、
”税務署が受理すること”と”申告内容が認められること”は別物であることをお話ししました。
見ず知らずの他人が発信する情報を闇雲に取り入れるのではなく、
ご自身が自信を持って正しいと思えることを申告書に記載するようにしてください。
それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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