税務の勉強をしていると、ふとした瞬間に
これは実務ではどのように使われているんだろう
と思うことがあります。
税法の概念や仕組み、適用要件などはテキストに書いてありますが、
それが実務の世界でどのように登場するのかイメージしづらいことも多いです。
私が税理士試験の勉強を始めたのは社会に出る前の大学生時代だったので、
税法の勉強はもちろん、簿記の知識すらどんな風に役立つのか
全くと言って良いほど想像がつきませんでした。
そんなときに大きな役割を果たしてくれたのが 脱税の本でした。
今回は税務の学習を行う人にとって
過度な節税や脱税のスキームを知ることのメリットをお話ししたいと思います。
生の現場に触れることができる
私が税理士試験の勉強をしていた時は、
はてな
これって実務では大事なことなのかな?
他の税目や制度と絡んでくることはあるんだろうか?
なんてことに疑問を持ちながら勉強をしていました。
そこには
試験勉強と実務は違う
というどこからか聞こえてくる外部からの声によって、今勉強していることは実務では役に立たないんじゃないか
という疑念が私の中にあったからかもしれません。
そんな時に図書館で『脱税』の本に出会いました。
その本ではいわゆる脱税行為についてだけではなく、
過去に税務訴訟へ発展した節税スキームについても書かれており、
その裁判の行方やその後の税制改正についても書かれていました。
ココがポイント
節税や脱税のスキームを考えるということは、税務に無知では絶対にできません。
税法に対する理解があるからこそ、
条文の「穴」が見えるものなのだと思います。
真似をするとか参考にするとかいう話ではなく、
ポイント
法人税や所得税、消費税、相続税など、
時には複数の税目にまたがって作り出された節税スキームを知るということは、
税法を体系的に理解することにきっと役立つはずです。
善悪の問題はあるとはいえ、
専門的知識を有した人の考えたスキームを知ること自体は、
勉強をしている立場の人間からするとより深い理解への大きな助けになるはずです。
ややこしい特例は過去の節税スキームが原因!?税制改正の歴史を知ることで理解度向上に努めよう
人間が色々なことを暗記する場合、
それぞれをバラバラで暗記するよりも、
エピソードとして関連付けた方がより覚えやすくなります。
先ほどお伝えした通り、
過度な節税や脱税スキームが流行ると、一般的に以下のような流れを取ります。
- 既存税法 α が存在
- α の穴を使った過度な節税スキーム事例が多発
- α の穴をふさぐための α´ が新たに制定される
このようなストーリーを抑えた上で学習することができれば、
α´ が作られた目的まで関連して理解することに繋がっていくのです。
具体的には、実務の世界では
- 消費税の自販機還付スキーム⇒課税事業者3年縛り+調整対象固定資産の改正
- 相続税の武富士事件⇒納税義務者に関する改正
- 一般社団法人を利用した相続税節税スキーム⇒同族割合による規制の強化
こんなようなイタチごっこが繰り返されているのです。
特例ばかりでやたらややこしい制度というのは、
過去に流行った節税スキームを税制改正で防止してきた歴史の系譜であることが多いです。
そのような歴史をストーリー化して抑えることで、
さらに詳しく
従来の税制ではどんな問題があって、
その問題を埋めるためにどのような改正がなされたのか
という一連の流れをまとめて理解することに役立つのです。
節税スキームと税制改正は、実務の最前線を映す鏡である
先ほど申し上げた通り、毎年行われる税制改正では、
節税スキームを防ぐための改正が頻繁に行われています。
例えば上述した消費税の還付スキームについては、
金地金還付スキームなど手口を変化させながら
まさに国との間でイタチごっこが行われているような状況です。
したがって税務に関する実務の最前線を知るためには、
このような 節税スキームと税制改正に着目することが大きな近道になると思います。
税制改正に登場するということは国が注目していることは勿論、
納税者の多くに影響を及ぼす論点であるとも言えるでしょう。
したがって税制改正の内容を知ることで、
現在の実務ではどのようなことに焦点が当たっているのかを感じ取ることができるのです。
勉強と実務のつながりがイメージできない人は、
節税スキームと税制改正の内容に注目してみてはいかがでしょうか?
最後に
今回は、節税スキームと税制改正に注目することで
実務の現場が見えてくるというお話をさせて頂きました。
なかなか実務に携わっていない状況では、
勉強していることの実用性がイメージしにくいものだと思います。
そのような時にはリアルタイムで取り上げられている
これらの情報をぜひ参考にしてみてください。
それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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