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【持続化給付金】新型コロナの影響による減収以外を不正受給に問えるのか? ~「等」の一文字がもたらす無限の可能性~

 

日本郵政の社員が持続化給付金の不正受給をしている

 

こんなニュースが全国を駆け巡ったのは6月のことでした。

不正営業が発覚したせいで収入が減っただけのくせに、 給付金までもらうなんて何事か!?

と思われた人も少なくないでしょう。

道義的にはまさにその通りなんですが、
不正受給にあたるのかどうかは感情論ではなく、
制度の要件に照らし合わせて逸脱しているのかどうかを検討する必要があります。

そのような観点で持続化給付金制度の詳細を見ていくと、

その要件には

致命的な欠陥

があるように思います。

持続化給付金の不正受給としては、

  • 確定申告書や売上台帳の偽装
  • 新型コロナ以外の理由による減収

の主に2点が挙げられますが、

今回は持続化給付金について、
コロナ以外の要因による減収を不正受給と認定する難しさを考えてみたいと思います。

緊急事態宣言下でコロナの影響が全くない事業者は存在するのか?

タイトルの通り、

ココがポイント

そもそも事実として減収があり、給付金を申請する場合、
その減収が100%コロナの影響ではないと誰が断言できるでしょうか?

先ほどの日本郵政社員の話を例にしても、
無論、不正営業の影響が非常に大きいのは間違いないのでしょうが、
緊急事態宣言下で本来の営業活動を行えなかった影響もゼロではないでしょう。

ひとつの要因が売上に対してどれほどの影響を及ぼしたのか

これを数値化することなど事実上不可能です。

これを受けて、
仮にコロナ以外の影響による減収は一切対象としない、
と要件を厳格化した場合でも同様だと思います。

コロナ以外の影響が1%たりとも生じていないことは
どのように証明すれば良いのでしょうか?

という問題が浮上するだけです。

私たち国民としては、

減収の大部分がコロナの影響によるものと考えられる事業者であれば、
血税を使ってでも給付金を支給することに理解できますが、

日本郵政社員のような減収の大半が‟他の理由”による人には
税金を使ってほしくないというのが当然の話だと思います。

しかし残念ながら後者をNGとするための制度設計はできていないように思います。

それどころか以下のように給付金制度の給付対象者を見ると、

国としてコロナ以外の減収も容認しているようにさえ感じられるのです。

「等」をつけたことで意味は一変する

以下は経済産業省が公表している持続化給付金申請要領のうち、
給付対象者の要件に関する部分の抜粋です。

2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、
前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)があること。

上記のうち、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により」の

ココがポイント

「等」はいったい何を表しているのでしょうか?

たかが一文字で大して変わらないでしょ

と思われるかもしれませんが、法律の条文上は、

この「等」があるかないかでは意味は全く異なります

ポイント

もし「等」がなければ、
給付対象はコロナの影響を受けた人に限定されます。

しかし「等」がつくことで、
コロナの影響はあくまでひとつの例示に過ぎず、他の理由を除外できません。

「等」の説明がどこかに書いてあれば良いのですが、
私の探したところではどこにもそのような記述は見当たらないため、
「等」をつけたことによって範囲はどこまでも広がっていくことになります。

ちなみに持続化給付金給付規程を読むと、

(趣旨・目的)
第2条 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴うインバウンドの急減や営業自粛等により、特に大きな影響を受けている中堅企業、中小企業その他の法人等(以下「中小法人等」という。)及びフリーランスを含む個人事業者(以下「個人事業者等」という。)に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付することを目的とする。

との記述がありますので、
制度の趣旨としては「コロナの影響を受けた事業者を支援すること」で
間違いありません。

しかし「新型……感染症の拡大に伴うインバウンドの急減や営業自粛等」というのは、

ココに注意

給付対象者の要件で言うところの、
まさに「新型コロナウイルス感染症拡大の影響」にあたる部分であるため、
結局のところ、その後に「等」をつけた意味がわからずじまいなのです。

「等」が付いている状態では、極端な話、

コロナの影響がゼロでも要件としては満たしているのではないか

とすら思えます。

ココがダメ

「等」なんてつけなければ、
コロナ以外の減収による不正受給をもっと追及しやすかったのではないでしょうか?

法律や制度は、本来「抜け道を見つける」⇒「塞ぐ」の繰り返しである

昔から税法も含めて、法律や制度というものは

悪知恵の働く人が制度の抜け道を見つけ、立法者がそれを塞ぐ

という‟いたちごっこ”です。

そのようなサイクルを経て、
抜け道の少ない法律や制度が固まってくるものなのです。

しかし今回の持続化給付金や家賃支援給付金というものは、
コロナ禍においては悠長なことを言ってられないため、

迅速に事業者のもとへ届けられるよう、
制度としてはかなり簡略化されています。

つまり抜け道だらけの制度なのです。

言うまでもなく、
確定申告書や売上の改ざんは抜け道などではなく不正受給以外の何物でもないです。

しかし売上の減少要因という部分については、

ココがダメ

「コロナ」と「減収」の関連性を客観的に判定することの難しさに加え、
給付対象者の欄で『コロナの影響「等」』としてしまったことを考えると、

日本郵政社員のようなケースでも、
給付金要件から逸脱しているとみなすことは困難であるため、
不正受給だと認定することは極めて難しいのではないかと思います。

コロナの影響以外による減収があった事業者が通過しようとしている抜け道を、
制度を作った国側が塞ぐことができていないからです。

制度を簡略化するためには抜け道を容認するしかなかったのかもしれませんが、

参考

  • 給付金ではなく貸付制度にして、
    2020年度の最終的な年間事業収入が前年度より減少した場合には返還不要、
    増加した場合には、増加割合に応じて給付金の一部返還を求める
  • コロナの感染拡大前の今年1~2月において、
    前年同月比ですでに事業収入が減少している場合には、
    コロナ以外の要因があるものとして給付金額を減額する

というような制度も可能だったのではないかと思います。

私の案が現実的かどうかは置いといて、

ポイント

「コロナの影響」という曖昧な表現を要件の中に用いて、
なおかつ「等」を付けて対象範囲をさらに拡大してしまった以上、
この部分で不正受給を追及することはとても難しいと言わざるを得ません。

血税を使うのであれば、 コロナで困窮している事業者を手厚く支援してほしい

元々そういった国民感情がなかなか満たされない制度である上に、
それを塞ぐ措置もとれていないというのが実情です。

最後に

今回はコロナの影響以外による減収を不正受給として
追及することの可能性についてお話ししました。

制度が発足する段階から、
給付金制度は性善説に基づいているという話がありましたが、

多額の税金を使うのにそんな話で良いのでしょうか?

少なくとも、制度を開始したらあとはお任せではなく、
修正すべきところがないかのメンテナンス作業は行ってほしいものです。

それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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服部 大

2020年2月に名古屋で独立開業したギリギリ平成生まれのゆとり税理士/中小企業診断士です。 こちらのブログでは、私自身の事務所経営や日々の生活で感じたことを自由気ままに綴っていきます。

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