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【持続化給付金】不正受給による返還希望者続出は「税金教育の欠如」が原因?

持続化給付金不正受給による逮捕者が報道が相次いでいることにより、
不正受給に手を染めた人々からのいわゆる「自首」が続出しています。

11月中旬時点で返還された不正受給金額はすでに30億円にも上り、
まだまだ止まることを知りません。

またこのような「自首希望者」は氷山の一角であることから、
一体いくらの税金が不正受給者や詐欺一味の手に渡っているのかと
考えるだけでもゾッとします。

税務に携わる人間あるいはひとりの納税者としては非常に腹立たしい想いですが、
不正受給者続出の裏には日本の根深い問題が絡んでいる気がしてなりません。

今回は持続化給付金不正受給者続出の背景について考えてみたいと思います。

不正受給金額は数百億円単位であることは確実に

経済産業省のホームページで公開されている
持続化給付金の返還件数や金額に関する情報は以下の通りです。

返還完了件数2,997件
返還完了金額32億1,000万円
返還申出件数(※返還完了分を除く)5,104件
経産省HPより(2020.11.12時点)

返還完了金額32億円を2,997件で割ると1件あたり約100万円となり、
この数字から個人事業主として偽って不正に満額を受給をした人間が
大半であることが伺えますね。

そして驚くべきことに、表の下段『返還申出件数』には
返還が完了した2,997件は含まれていないとのこと。

つまり11月12日時点で合計8,000件以上の返還希望者がおり、
その金額は80億円近くになることが予想されます。

これから先も返還希望者は増加していくことが確実であり、
さらには返還せずに不正受給したままとする人間も数多くいることから、

ココがダメ

持続化給付金による不正受給金額は数百億円規模となることは
間違いないと言えるでしょう。

率直に言って非常にガッカリですね。

「不正受給者の民度が低い」、「政府の愚策」だけが原因なのか?

今回の持続化給付金の不正受給者続出や
別記事でも解説したGoToイートのトリキ錬金術、くら寿司無限ループなど、
民度の低い国民の行動が浮き彫りとなっています。

【トリキ錬金術】GoToイート、持続化給付金で見えた”ずさんな制度設計”と”性善説の崩壊”【不正受給】

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これに対し、

「こんな人間に税金が流れるなんてふざけるな!」
「こんな問題だらけの制度を作った国がおかしい!」

というお怒りの声があちこちで聞こえてきますし、それらのご意見はごもっともでしょう。

制度開始までに比較的時間のあったGoToキャンペーンはともかくとして、

持続化給付金の制度設計に関しては、
緊急事態宣言下でいち早く事業者へ現金を給付するという目的を持った制度であるため、
簡便で「緩い」制度となっているのは致し方ない部分もあるのかなと思っています。

(もう少しやりようはあったのかなとも思いますが...。)

しかし今回の不正受給やGoToキャンペーンの乱用の状況は、
国として税金に関する教育を行っていないことが根幹にあるのではないかと感じています。

「税金」は誰のものでもない、”無尽蔵のお金”だと思っていませんか?

今回、持続化給付金で不正受給行った人達には、
大学生のような若い世代も非常に多いことも特徴として挙げられています。

逮捕者の中にもごく普通の大学生にしか見えない人も少なくなく、
今回の不正受給に手を染めた数万人(下手したら数十万人)のすべてが
元々犯罪者予備軍のような人種だったとするには
あまりにも数が多すぎる気がしてならないのです。

  • 無茶なことをしたところで、税金なら誰も傷つけてないでしょ?
  • 税金なら誰かから盗んでるワケじゃないんだし問題ないでしょ?
  • 不正受給しても、国が紙幣を増刷すれば元通りなんじゃないの?

こんな風に「税金だからOK」と感じている人々がいるのではないでしょうか。

日本で生まれて育った人は義務教育で税金計算の仕組みを学ぶことはなく、
社会人になっても年末調整というシステムによって、

年間で自分がいくら納税しているのかも把握しないまま
生活し続けていることがむしろ「普通」の世の中です。

自分や自分の周りの人が毎年どれほどの税金を納めているのか想像できず、
「税金」や「国のお金」を自分事ではなく他人事のように感じているからこそ、
心を痛めることなく不正受給に手を染めることができるのではないかと思うのです。

”納税意識の低下”がもたらす政治への無関心

上述したように、
自分が納めている税額すら知らないで生活できる国だからこそ、
「税金の使い道」にも関心が向かず、政治にも興味が持てないのでしょう。

日本のような年末調整というシステムがなく、
自分で確定申告を行う必要があるアメリカの政治への熱意を見ていると、
日本の教育システムの根本に問題があるような気がしてなりません。

  1. 税金の教育を行わない、年末調整で納税額も把握していない
  2. 納税意識の低下、政治への関心低下
  3. 税金への偏見から不正受給など違法行為やモラル欠如の行動が多発 ←今ココ
  4. 国の財政を圧迫
  5. 増税により健全な納税者が悲鳴を上げる

今後はこのような流れに突き進んでいくのではないかと危惧しています。

ギモン

給料から所得税も住民税も社会保険料も天引きされているのに、
どれについてもきちんとした教育がなされていないって
どう考えてもおかしいですよね。

国民のひとりひとりが自分と関わりのある範囲で構わないので、
税金や社会保険に関する基本的な知識を得られるような教育システムが
必要ではないかと思いますが、皆様のご意見はいかがでしょうか?

最後に

今回は持続化給付金の不正受給から、
国としての教育システムの問題について考えてみました。

言うまでもなく、
同じ教育を受けても不正受給を行わなかった方々が大半なわけですから、
不正受給に手を染めた人々は擁護に値しないことは明白です。

しかしこれだけの人数がそのような違法行為に出たということは、
「どうせ税金だから」という間違った考えが根底にあるような気がしてなりません。

いずれにしても税金や社会保険制度が
日本の教育に組み込まれていないことにはとても違和感を感じますね。

それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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服部 大

2020年2月に名古屋で独立開業したギリギリ平成生まれのゆとり税理士/中小企業診断士です。 こちらのブログでは、私自身の事務所経営や日々の生活で感じたことを自由気ままに綴っていきます。

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