皆さんこんにちは。
名古屋で開業予定の税理士、服部大です。
今日はいい天気でしたね♪
天気のいい日は、ブログを書くスピードも心なしか少し速くなる気がします。
さて、昨年12月に税理士試験の合格発表がありました。
悲願の官報合格を果たした方もいれば、今回は残念な結果に終わってしまった方もいることでしょう。
その方たちも、年明けから再スタートを切っている頃ですね。
私も約7年前に税理士試験を突破しましたが、
近年税理士業界に異変が起きているのはご存じでしょうか?
受験者数の激減
まずはこちらをご覧ください。
上のグラフは、最近6年間の税理士試験の受験者数の推移ですが、
ご覧の通り、毎年受験者数が減少しているのです。
これを端的に読み取るのであれば、税理士資格の人気低迷を意味していると言えるでしょう。
6年の間に受験者数が1万人以上も減少するというのは、税理士会としても由々しき問題であることは間違いないですね。
受験者数減少の理由は?
では、なぜ税理士を志す受験生の数が年々減少し続けているのでしょうか?
そこには以下のようないくつかの要因があると思います。
少子高齢化
まずひとつめは少子高齢化です。
というか少子化ですね。
少子化により資格試験を目指す若者の母数自体が減少している、
この事実も要因としては無視することはできないでしょう。
合格難易度の高さ
税理士試験の合格難易度の高さも、敬遠される一つの要因ではあるでしょう。
また難易度だけではなく、受験期間の長期化も二の足を踏む大きな要素であると思います。
税理士試験の場合、合格に要する期間は早くて3年、
働きながらだと5年超かかるケースも当たり前のように存在する試験です。
そのため、就職せずに受験専念するという選択をすること自体が難しく、
仕事と勉強の両立が困難となって受験を断念する…といったケースも少なくありません。
AI化により消滅
ここからはイメージ的な要因を考えていきます。
以前のブログ『クラウド会計とわたし』でも書かせて頂いた通り、
AI化により消滅する業務の筆頭候補のひとつに税理士業務(特に記帳代行や申告書作成業務)が挙げられています。
このことは私自身は機会として捉えていますが、
世間一般から見れば、税理士資格へのマイナスイメージに他なりませんよね。
将来なくなるかもしれない仕事のために、どこの誰が何年も、そして多額の学習費を費やしてまで資格取得を志すのでしょうか?
食えない資格
上記AI化による消滅とも重複しますが、
税理士は「食えない資格」なのではないかというイメージも強まっているのではないかと思います。
税理士の平均年収は、約700万円ほどと言われています。
それを聞いてどのようなイメージを持たれるかは様々であると思いますが、
私は「資格がいる仕事の割には少ないな」と感じます。
(まあそれよりも、ピンからキリまでいるような世界において平均を出すことに果たして意味があるのか甚だ疑問ではありますけども。)
ただし、食えない資格というのは何もイメージだけの話ではありません。
下のグラフをご覧ください。
これは全国の税理士登録者数を表したものですが、
受験者の減少とは反対に、登録者数は年々増加しています。
この事実は、開業税理士には定年がないことも影響し、世の中の税理士が飽和状態にあることを意味していると思います。
税理士の平均年齢は何とまさかの60歳オーバー。
いずれこれらの世代の退任が相次ぐこととなるでしょうから、登録者のグラフも減少に推移することにはなると思います。
ただし現時点では「食えない資格」というイメージは、事実無根とはなかなか言えないのが実情ではないでしょうか?
ブラックな業界イメージ
これは昔から根強いものだと思います。
というか実際のところ、職員に残業をたくさんさせることで成り立っている税理士事務所が数多く存在するでしょう。
(税理士業界に限らないことだとは思いますが。)
先ほど記載した通り、受験期間の長期化により仕事と勉強を両立することを考えた場合、
残業の多い税理士事務所で修業しながら勉強を続けることなんてできるのだろうか…。
と不安になる気持ちはとてもよくわかりますね。
独立志向を持つ人の減少
私はこの要素も強いのではないかと睨んでいます。
元々税理士資格というものは
将来、一国一城の主になってやるぜ!!
という独立の野望を持って志す人が圧倒的に多かったと思います。(何を隠そう私もそうでした。)
しかし不景気が続く中で、
今や新卒者の目指す就職先は安定を求めて大企業に大きく偏り、
小さな子供の将来の夢に、安定というイメージから「公務員」がランクインする時代です。
その世の中において、夢もあるがリスクもある独立という選択肢を志す肉食系の若者は
確実に減少しているのではないでしょうか?
何となく地味
ええ、少し自虐的なイメージが強いです。笑
でも何となく
学生時代にクラスの中心だった人が税理士になりました!
ってイメージはないですね。
どちらかというと私のように
「あいつ、勉強もそこそこまじめにやってたような気がするけど、目立たないしあんまり印象にないな…。
あれ、そもそも下の名前何だっけ?」
って言われるくらい、学生時代影が薄いような人が大人になって税理士になってるイメージです。
つまり、税理士に対して羨望のまなざしを送ってくれる人が少ないように感じるのです。
(これを資格コンプレックスと言います。)
目指さないことが正解か
これまで税理士のくせに自分の資格のマイナスイメージを散々語ってきましたが、
では税理士資格を目指さないことが正解という結論になるのでしょうか?
勿論、人によってその答えは様々ですが、
私は今だからこそ目指す価値も大いに見いだせるのではないかと思っています。
先ほどお伝えした通り、税理士の平均年齢はめちゃくちゃ高いです。
全国において新規設立する法人の数も減少傾向にはありますが、
あなたがもし30代前後で独立する場合、どのような税理士に依頼しますか?
勿論、経験豊かな大ベテラン税理士に頼みたいという人もいるとは思いますが、
「自分と同年代の税理士に頼んだ方が色々聞きやすそう!」
と感じる方も多いのはないでしょうか?(私なら絶対に後者を選びます。)
また平均年齢が高いということは、必然的にITに弱い人が多い業界とも言えます。
このように、若いことがひとつのアドバンテージになりうる世界というのは、
資格取得を目指すのに充分な動機になるのではないかと思います。
AI化により消えていく仕事なのではないかという疑問に関しては、
過去のブログ『税理士業務など、なくなってしまえばいい』でも書いた通り、単純作業がAIに置き換わるだけです。
そのように言い切れる根拠は、
税務は白黒はっきりしていないものも多く、
税法の解釈などの領域では、(少なくとも私たちの現役のうちは)人間の頭脳なくしては業務を行えるはずもないのです。
今後食えなくなる税理士というのは、そのようなAI化により消えていく単純作業のみを取り扱う税理士だと思っています。
時代の波に柔軟に対応し、AIと共存できる税理士になれれば、
同年代の競争相手となる税理士が少ないブルーオーシャンに生きていくことも夢ではないかもしれません。
終わりに
今日は税理士試験の受験者数減少から見た、税理士資格の今後についてお話させて頂きました。
私がお伝えしたいのは、
今、税理士を目指して頑張っている方々
これから税理士を目指そうか悩んでいる方々
色々なネガティブな情報を見ると将来を不安に思う気持ちが増大してしまうかもしれませんね。
でも一見マイナスに見える情報でも、
その情報を別の角度から見れば、ひょっとしたらポジティブな一面が見えることもあるのです。
先ほどのグラフのような、統計データが指し示すのは一つの解釈ではありません。
受験者数の減少が、あなたにとってどのような意味をもたらすのか、
他の情報に左右されずにご自身で一度考えてみてください。
その結論があれば、きっと情報に踊らされることなくご自身の意思を貫き通せるはずです。
では今日もお読み頂きありがとうございました。
またお会いしましょう。
良い三連休をお過ごしください♪
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