ここ数年で急速に広がりを見せるクラウド会計。
単なる会計ソフトとしての役割にとどまらず、
現在では給与計算や請求システムとも連動をさせることで、
バックオフィスのトータルサポートを実現しつつあります。
クラウド会計の大手とも言えるマネーフォワードやfreeeについては、
家計簿アプリとしてのサービスも展開しているため、
事業者を営んでいる方だけでなく、
サラリーマンや主婦層でも馴染みのあるものとなっていますよね。
税理士の私の立場ではクラウド会計の広がりを肌感覚として実感できるのですが、
実際のところ、クラウド会計はどの程度普及しているのか?
という疑問について、
個人事業主に対して行われたアンケート調査の結果をお話ししていきたいと思います。
すべての会計ソフトのうち、2割超がクラウド会計に!
これからご紹介するデータは、
いずれも㈱MM総研という会社によって行われたアンケート調査に基づくものであり、
令和元年度の確定申告済みの 個人事業主20,980名に対して行われたものです。
さっそく以下の図表をご覧ください。
こちらは個人事業主が使用している会計ソフトに関するアンケート結果ですが、
会計ソフトを使用している33.9%のうち、
クラウド会計利用者は21.3%まで達していることがわかります。
ココがポイント
つまり会計ソフト利用者の2割超がクラウド会計を使用しているということです。
これを前年比で比較すると以下の図表2のようになります。
2019年度調査では18.5%であった比率が、ついに2020年で2割を上回ったことがわかります。
その結果、従来のインストール型の会計ソフトは7割を切っており、
ポイント
時代の流れとともに「インストール型」⇒「クラウド会計」へと
着実に移行していることがわかりますね。
ちなみにクラウド会計の占める割合の推移は以下の通りです。
2016年では1割にも待たなかったクラウド会計ですが、
それが 4年で2倍超まで急成長していることが明らかとなっています。
こうしてデータで見てみても、
クラウド会計の浸透は現実のものと言えるのでしょう。
みんなが使っているクラウド会計はどれ?
何となくクラウド会計が便利だと聞いたことはあるものの、
実際に自分が使う立場になったらどれを選べばいいのか
わからないものですよね。
2020年現在において、
どのクラウド会計が多くの方に利用されているのでしょうか?
それを表したものが以下の図表となります。
クラウド会計が普及する前から、
インストール型としても多くの事業者に使われていた弥生はさすがのシェアですね。
しかしマネーフォワードやfreeeで4割近くのシェアを確保しており、
「その他」の後発組のクラウド会計についても侮ることはできない状況でしょう。
マネーフォワードとfreeeを比較すると、
この1年においてはfreeeがマネーフォワードを逆転する結果となっています。
ちなみに直近5年間でのクラウド会計のシェアは以下の通りです。
マネーフォワードとfreeeの間には僅差の戦いが続いていることがわかります。
この先もこの2社を中心とした激しい覇権争いによって、
シェアが目まぐるしく推移することになるのではないでしょうか。
税理士としても会計ソフトのシェアが分散することで、
対応しなければならないシステムも増えるため、なかなか大変な時代と言えそうですね。
クラウド会計の課題=無党派層をいかに取り込むか
ここまでクラウド会計の普及を示すデータを見てきましたが、
クラウド会計の課題が存在することも事実です。
ここが重要
それは会計ソフト自体を使用していない個人事業主が
過半数を占めているという現状の打開にあるのではないでしょうか?
冒頭の図表では、
「会計ソフトを利用していない層」が57.1%も存在していました。
「会計ソフトを利用している層」の中では2割超のシェアを誇るクラウド会計ですが、
「会計ソフトを利用していない層」を含めた個人事業主全体におけるシェアとしては、
1,518名/20,980名≒7.2%
わずか7%程度に留まっているのです。
この「会計ソフトを利用していない層」の多くは、
おそらくエクセルなどの表計算ソフトを活用して確定申告をしているのでしょう。
既存のインストール型の会計ソフトから移行する事業者を増やすことも
勿論重要なのでしょうが、
ココがポイント
これらのいわゆる『無党派層』をいかに取り込んでいくか、
それこそがシェア拡大の重要な課題となっていくのだと思います。
最後に
今回はクラウド会計に関する最新のアンケート結果をもとに、
クラウド会計の現状分析を行いました。
まだまだ主流となっていくには道半ばといった状況ですが、
着実にシェアを拡大しつつあることが伺えます。
税理士としてもこのような時代の波に乗り遅れることがないよう、
情報収集はしっかりと行っていきたいものです。
それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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