皆さんこんにちは。
鶴舞の税理士、服部大です。
あれだけ品薄だったマスクも、今となっては市場に出回っているようですね。
安倍政権曰く、これはアベノマスク効果らしいです。笑
私の家も含めてまだまだ届いていない状況ですが、
現状のようなアベノマスク効果を予期していたのならば
最初から東京などの一部地域だけで配ればよかったのでは?
この期に及んで中止にしない理由もよくわからないものです。
さて、今日は消費税のお話をしたいと思います。
資産の貸付けに関する経過措置とは?
昨年10月より消費税率の改定が行われ、8%⇒10%へ増税となったことは
記憶に新しいですね。
しかし消費税率の改定にあたって、家賃などの賃料については
経過措置があることをご存知でしょうか?
以下は国税庁からの抜粋です。
2013年10月1日(平成26年指定日といいます)から2019年4月1日(平成31年指定日といいます)の前日(2019年3月31日)までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、2019年10月1日(平成31年施行日といいます)前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が「一定の要件に該当するとき」は、平成31年施行日(2019年10月1日)以後に行う当該資産の貸付けについては、資産の貸付けの税率等に関する経過措置により、旧税率(8%)が適用される
これを噛み砕いて要約すると、
2013年10月~2019年3月末までの間の不動産などの賃貸借契約で、
消費税の増税前から継続して貸しているケースにおいて、
『一定の要件』に該当するときは増税後も8%のままとなる
ということです。
ここで注意が必要なのは、「8%のままでもよい」という選択適用ではなく、
旧税率の8%が(強制)適用されるということです。
つまり要件に該当するのに10%で計算していた場合には誤りとなりますのでご注意ください。
では旧税率となる『一定の要件』とは一体何なんでしょうか?
それは以下の①と②の両方を満たす場合をいいます。
一定の要件:①対価の額が定められていること
まずは契約書上で対価の額がきちんと明記されていることです。
一般的な契約であれば、
当たり前のように月額や年額の賃料が記載されていることかと思いますが、
テナントなどの賃料の場合には売上の〇%を上乗せするなどの
書き方がされているケースがあります。
このような場合には具体的な対価の額が定められていませんので、
①の要件を満たさないという結論になります。
一定の要件:②契約期間中に「賃料改定を要求できる」or 「解約請求できる」旨の記載がないこと
そしてもう一つの要件は、いずれかを満たせばOKです。
まず賃料改定要求については、一般的な賃貸借契約であれば
「公租公課の変動や社会情勢の変化に基づき、当事者間の協議の上改定できる」旨の
記載がされていることが多いです。
旧税率が適用されるのは、このような記載がない場合のみです。
(なお「消費税率の改定により賃料を改定できる」という記述は、
改定要求できる契約とは見なされませんので、
それ以外の改定に関する記述がなければ②の要件は満たすこととなります。)
またもう一つの選択肢としては、契約期間中に解約請求ができないものであることです。
この条件に関しても、一般的な賃貸借契約であれば解約条項を入れていることが多いため、
該当しないケースの方が多数であると想定されます。
このように要件としては大きく分けて2種類あるのですが、
②の要件に当てはまるケースが少ないため、
実務上は旧税率の8%のままとなる事例は少ないと言えるでしょう。
2019年4月1日以降に賃料改定を行った場合には、改定後は10%となる
上記①②の要件を満たし、旧税率に該当する場合においても
2019年の4月1日以降に賃料の改定を行った場合には
改定後の賃料に係る消費税率は10%となります。
そしてこの制約が、次の論点の焦点となります。
コロナによる臨時的な賃料改定は経過措置の対象外?
上記のとおり、旧税率のままとなるケース自体がそもそも僅少であると言えますが、
中には該当する事例もあることでしょう。
しかし旧税率が適用される賃貸借契約においても、
現在のコロナ禍により賃料を一時的に減額することもあり得ます。
その場合には先ほどお伝えした通り、賃料改定後は10%となってしまうのでしょうか?
答えは、
その改定が正当な理由であれば経過措置が適用され、旧税率のままでよいとのことです。
正当な理由とは、
言わずもがなコロナ禍による借主の負担軽減への協力によるものを指します。
ただしこの場合であっても,コロナの影響を受けたテナントを支援するために
賃料を減額したことがわかるよう、変更契約書や覚書を作成しておく必要があります。
覚書の記載例としては以下のフォーマットをご参考ください。
覚 書(例)
【不動産所有者等名】(以下「甲」という。)と【取引先名】(以下「乙」という。)は,甲乙間で締結した○○年○月○日付「建物賃貸借契約書」(以下「原契約」という。)及び原契約に関する締結済みの覚書(以下「原契約等」という。)に関し,乙が新型コロナウイルス感染症の流行に伴い収入が減少していること等に鑑み,甲が乙を支援する目的において,以下の通り合意した。
第1条 原契約第△条に定める賃料を令和2年×月×日より令和2年▲月▲日までの間について,月額□□円とする。
第2条 本覚書に定めなき事項については,原契約等の定めによるものとする。
令和2年◇月◇日
最後に
今日はあまり該当する方は多くないと思いますが、
賃料に関する消費税率の経過措置を適用する事業者が
コロナ禍により賃料減額を行った場合の取り扱いについてお話ししました。
不動産関連で言えば、家賃補償制度を早く確定させてほしいところですよね。
また決まり次第、すぐにご案内できればと思います。
では今日もお読み頂きありがとうございました。
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