○○について相談に乗って下さい
新規の方からそのようにお声掛け頂くことがあると、
嬉しい反面、内心は結構ドキドキします。
ご相談頂く大まかなトピックについては、
- 融資について
- 相続について
- 確定申告について
- 節税について
など、事前にお知らせ頂いているケースがほとんどですので、
必要なモノや情報があれば事前に準備しておくことも可能です。
しかしその一方で、
相談者の方がどのような背景を持っているのか
ご相談内容では書かれていないような潜在的なニーズや悩みがあるのではないか
こういった情報については事前に得ることはできないため、
まさに出たとこ勝負という感じになります。
今回は税理士業務の根幹である「顧問契約」の業務と比べて、
スポットで請け負う業務の特徴はどんなところにあるのか考えてみたいと思います。
人間関係が構築できていない=『観察力』が大切
数年、場合によっては数十年続く顧問契約であれば、
顧問先の経営者のビジネスにおける考え方やお悩みについてだけではなく、
色々お話しする中で
経営者のプライベートな部分も知ることができたり、
経営者だけでなく周りで働く従業員の方々とも打ち解けていくケースは少なくありません。
そういった年月を重ねることによる関係性の深まりというのは、
紛れもなく顧問契約のメリットと言えることでしょう。
その一方で、
スポットの業務は基本的にはその時が初対面ということになりますので、
当然、私と相談者の方との間には人間関係の「に」の字もありません。
勿論、雑談をしにいらっしゃっているわけではないので、
頂いた税務相談に対して適切な回答を差し上げることが目的なのですが、
- 単刀直入に結論だけ知りたい方
- とにかく色々な話を聞いてほしい方
など、ご相談者のタイプも千差万別であることでしょうから、
お相手の方の望んでいる対応を正しく選択する難しさもあります。
この辺りは今後、スポット案件の場数を踏んで、
私が話をしているときのお相手の方のリアクションを観察しながら
だんだんと傾向を掴んでいくという経験がもっと必要なのかなと思います。
ココがポイント
初対面の方と一から関係を築いていくという意味では、
『観察力』はどんどん磨いていかなくてはならない大事な要素だと感じています。
背景を把握していない=『質問力』が大切
副業の収入が増えてしまったので、確定申告について相談に乗ってください
こんなスポットでの税務相談があったとします。
このようなシンプルなご相談だったとしても、
私の回答までシンプルにするわけにはいきません。
関係性が深まり、色々な背景まで知ることができる顧問契約とは異なり、
スポット案件ではご相談内容に至るまでの背景も知らない状態で始まりますので、
回答する上で必要な情報は根掘り葉掘りお聞きする必要があるのです。
たとえば先ほどの例で言えば、
- 副業とは具体的にどのような内容か
- 年間の収入はどれくらいか
- 経費として計上できるものにはどのようなものがあるか
- 本業はどのようなものなのか
- サラリーマンの場合には、勤務先は副業禁止か
こういったことをヒアリングしなければなりません。
ここで注意が必要なのは、
相談者本人が持っている情報がすべて正しいものとは限りません。
上記の例であれば、
相談例
ご本人が認識している経費は仕入のみであったが、話を聞いてみると
自宅の家賃や光熱費、携帯代も副業分として経費で落とせることがわかった。
その結果、最終的に副業による所得はゼロとなり、そもそも確定申告は不要だった。
なんてことは当たり前のように起こり得ます。
したがって一問一答形式でお答えして頂くだけではなく、税金を扱う専門家として
- ご本人は認識していないが、実はあんなものがあるんじゃないか
- こんなケースもあり得るから念のために聞いておくか
ココがポイント
想定されるパターンを先読みし、
必要な情報を漏れの無いようにヒアリングすることが不可欠です。
そういった観点では、
スポット案件では税理士としての『質問力』が非常に重要と言えます。
業務の‟終わり”がある=『達成感』が大きい
税理士業務の根幹となる顧問契約の場合、
- 顧問契約の解除
- 顧問先の廃業等
このようなことがない限りは、顧問契約は半永久的に続くこととなります。
ポイント
このことが税理士事務所に安定性をもたらすことに繋がっていくため、
顧問契約の重要性が非常に大きいことは言うまでもありません。
しかしスポット案件にも大きなメリットがあると感じており、
そのひとつが
短期集中による達成感の大きさ
だと思います。
勿論、顧問契約のお仕事にも達成感を感じる瞬間は多々あるのですが、
デッドラインが決まっている中で、それを目指して短期集中型で取り組む仕事は、
あまり馴染みがないことによる新鮮味も相まって尚更魅力を感じます。
税務関連でのスポット案件では、
このようなプロジェクト型の業務はあまり多くない印象ですが、
例えば 相続やM&Aのお仕事はこの傾向があるかもしれませんね。
実際に私が携わっている税務以外の業務の中では、
書籍の監修という業務もこれにあたるかと思います。
どっちも大事!
顧問契約のように長いスパンでじっくりと取り組む仕事と、
スポット案件のように短期間で一気に完結する仕事
どちらか一方に偏らせるようなものではなく、
上手くバランスをとって仕事をしていきたいなと思います。
そのためには多くの税理士事務所のように
顧問契約のみで自分のキャパシティを埋めてしまうのではなく、
スポット業務を受注するための余力は常に持ち続けていたいと思います。
最後に
今回はスポット業務の特性についてお話ししました。
顧問契約とは違ったメリットを持つお仕事だと思いますので、
自分を鍛錬する場という意味でも
たくさん受注できるよう、積極的に取り組んでいきたいと思います。
それでは最後までお読み頂きありがとうございました。
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